今夏の阿佐ヶ谷ラピュタ時代劇特集、待ってました!と観賞。
全三部作やってくれるとゆうので、二年半前に観た 176「大菩薩峠 (1957)」 も最観賞、しっかり予習&復習。 176でも書きましたが、片岡千恵蔵 (1903-1983) 演じる「机 竜之介(つくえ・りゅうのすけ)」というとんでもない笑・ダークヒーローのその後、それはそれは強烈に引き続きとんでもなく、面白かったです。
と書き出してもまったくピンと来ないと思います。ぼくもこんなサイトを作るまで、巨匠と呼ばれ小津安二郎・黒澤明の兄貴分として活躍した 内田吐夢 (うちだ・とむ 1898-1970) 監督のもの凄さ知らなかったわけですし、 大スタア・知恵蔵もとい、千恵蔵さんの格好良さとか何もかも無知だったわけですから。
娯楽の中心をテレビに奪われる前の、日本映画が1番輝いていた時代、東映は予算たっぷりで巨匠に作らせたわけです。しかも1年1本、総天然色、全三部作! 映画館でそれを目の当たりにし熱狂(したかどうかはわかりませんが)そんな風景を想像しながらワクワク気分で観賞した次第。
未読の方は是非、第一部 176「大菩薩峠 (1957)」 からお読みいただきたいのですが、めんどくさい方のためにあらためて Wikipedia 大菩薩峠 による、原作小説の説明文をコピペしときます。
『大菩薩峠』(だいぼさつとうげ)は、中里介山(なかざと・かいざん)作の長編時代小説。1913年~1941年に都新聞・毎日新聞・読売新聞などに連載された41巻にのぼる未完の一大巨編。
幕末が舞台で、虚無にとりつかれた剣士・机竜之助を主人公とし、甲州大菩薩峠に始まる彼の旅の遍歴と周囲の人々の様々な生き様を描く。連載は約30年にわたり、話は幕末から明治に入らずに架空の世界へと迷い込み、作者の死とともに未完に終わった。作者は「大乗小説」と呼び、仏教思想に基づいて人間の業を描こうとした。世界最長を目指して執筆された時代小説で、大衆小説の先駆けとされる。
すごいでしょ? 連載28年、作者死去により未完。しかも当時の新聞連載と言ったら、国民皆読んでるようなものですから、戦前の方たちにとっては常識みたいなお話なのでしょう。なので176で書いたように何度も映画化され、片岡千恵蔵自身もこのわずか3年前の1955年に、別の監督で三部作に主演しております、同じ役で。
ギャング姿も決まってます♡片岡千恵蔵(中央)
第一部冒頭、まさに大菩薩峠(甲州)で、いきなり罪も無い巡礼中の老人を斬り殺した男・片岡千恵蔵。その衝撃(てか、あかんやん!)を再見して確認。つづく放蕩ぶりや堕落を繰り返し(完全に堕落とは言えないにしても)、そんな変で陰気でキチガイみたいなのに常に女に愛され、なのに斬り殺し斬り殺し。第一部のラストでは、幕末の京都で新選組らと徒党を組みあげく、倒幕派に追い詰められ隠れ家で被爆、両目の視力を失ったまま斬り殺し斬り殺し、自ら滝に飛び込み姿を消す場面で「終」でした。
Wiki にあるように千恵蔵さん「虚無」に取り憑かれてるわけですが、その「虚無」が、特に女性にとってすれば「ニヒル」に見えるのか?とにかくモテる。かつ強い(描かれてませんが床仕事も絶倫なのでしょう)からタチが悪い笑。
さあ〜第二部、どうくるのか!? かなり楽しみで、そしてそんな期待をおもいっきり凌駕する、名展開オンパレードでした!。
第一部で目が見えなくなってしまった片岡千恵蔵(=役名:机 龍之介)、しぶとく生き延びて見えないのに斬り殺し斬り殺しな毎日笑。第一部で殺された男の弟・中村錦之助 (のちの萬屋(よろずや)きんのすけ 1932-19997) が「仇討ち」行脚で追いますがこの第二部でも結局追いつけません。千恵蔵の潜伏先を、謎の泥棒屋(でめちゃくちゃ人が良い)月形龍之介 (1902-1970) の情報をもとに向うたびに、タッチの差で千恵蔵ドロンです。でラストは千恵蔵さん悪代官に乞われ、暗殺者として雇われたところで「終(つづく)」。
第一部の冒頭で殺された老人の孫娘・丘さとみ (1935-) は、月形龍之介に助けられ、芸者屋などに預けられ成長しつつ、しかし今でいうセクハラに耐えられず龍之介の機転で逃げ出し、千恵蔵への仇討ち行脚をする中村錦之助と行動をともにするという流れ。この若い二人がいい感じになる模様もまた楽しい。
丘さとみさん、この三部作では台詞少なめ、お人形さんみたいな感じだったけど、このあと同じ内田吐夢監督・中村錦之助主演「宮本武蔵五部作」では、吐夢監督にボロカスにダメだし(今だったら完全にパワハラ)されてたそうです。
もっと触れなければならない、掘らなければならない展開、語っておきたい名優・奇才ぞくぞくなんですがこのへんにしときます。そう、明日「完結編」観てきますので、あらためて三部作は次回、よろしければお付き合い下さい!
キネマ旬報ベストテン1958 選外
Wiki (土地)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%8F%A9%E8%96%A9%E5%B3%A0
Wiki (小説)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E8%8F%A9%E8%96%A9%E5%B3%A0_(%E5%B0%8F%E8%AA%AC)
三部作を徹夜でビデオで見た人のレビュー
https://blog.goo.ne.jp/sesamefujii/e/b95f764745f7084646275fc9e5b7d548
2020年 8月14日
ラピュタ阿佐ヶ谷「痛快!東映時代劇まつり」で観賞
↑ 写真下で目をつむってるのが「虚無」な殺し屋・片岡千恵蔵です。
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