348 探偵事務所23 くたばれ悪党ども 1963 鈴木清順 : 日本映画の遺伝子

面白かった！

バキューン！　ピストル・ライフル・マシンガン撃ちまくり、荒唐無稽を超越した感じの娯楽映画です。

鈴木清順 (1923-2017) 監督のそれまでと、その後に繫がる「清順節」の分岐点みたいな１本とゆう評価を読みました。納得です、つまりここで紹介した　056「踏みはずした春 (1958)」　などの人間ドラマ、　230「らぶれたあ (1959)」　のような歌謡ドラマ（なんて、こんな安易にジャンル分けすると清順さんの信者に怒られそうですが）がたくさんあって、この１本。　そして同年に同じく　宍戸錠 (1933-2020) 　主演で発表された　168「野獣の青春 (1963)」　においてより明確に清順節が開巻し、傑作　275「東京流れ者 (1966)」　・　293「殺しの烙印 (1967)」　へと繫がっていったわけです。（偉そうに語ってますが、まだまだ鈴木清順初心者ですので、失礼お許しを）。　

開巻の１作なので、各種表現はやや抑えめです。斬新さが（その後の清順節に比べると）ソフトとゆう意味です。　なので個人的には、よりドラマ感が際立っているような、とても見やすくて単純に楽しめました。

しかし例えばヤクザのキーマン・川地民夫 (1938-2018)　が愛人宅に入ると、そこは真っ赤な照明、女の浮気を疑って DV したのちにそのまま押し倒し、宍戸錠に見られて興奮するという変態ぽさや、ヤクザのアジトに大掛かりな自動階段の地下室があったり、そこに閉じ込められ火を付けられたジョーはマシンガン乱射で天井に穴を開け、外に知らせるとゆう奇想天外、そしてお約束のキャバレーシーンでは、ジョーも歌うし踊るし、当時 JAZZ として最先端だった奇妙なリズムの音楽満載、すべてはのちに海外でも評価が高くなった鈴木清順の、この人ならではの味です。

ヤクザの親分役か小悪党の印象が強い　金子信雄 (1923-1995) がめずらしくここでは警部で、探偵のジョーにおんぶにだっこ。ジョーの部下でユニークな顔立ち（アゴが長い）の　土方弘 (情報なし)　と、老け役で著名な　初井言榮 (1929-1990) が漫才コンビみたく笑わせてくれます。

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ジョーを愛する　星ナオミ (1938) このあと、ジョーとタップダンスしながら歌います。

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今回ぼくにとって一番の収穫は、ヤクザ親分の愛人で（不能なのでセックスレス）宍戸錠に激しく抱かれることになる　笹森礼子 (1940-　↓　写真右 )

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終始無表情で、女性であることを忘れたかのような佇まいなのに存在感があって、ラストはジョーを愛する、その情熱がはじける煌めきがたまりませんでした。　笹森さんはこの時代、早逝した　赤木圭一郎 (1939-1961) の相手役として有名な方だそうですがぼくは未見。わずか５年ほどの活動で６５年に結婚、引退したそうです。

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かわゆい♡

さて、整形ほっぺ（晩年摘出）の「エースのジョー」こと宍戸錠、細身で格好良すぎ。最初に書いた通り全体的に抑え気味なので、オーバーアクトも控えめで◎。　「探偵事務所２３（ツースリー）」は同年に続編が１本のみ作られてますがそれは別監督だそうです。昭和３８年の東京、豪華なセット、撃ちまくりガンアクション、至福・眼福なひとときでした！