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コスプレ(きっと)大好き、怪優・西村晃 (1923-1997)    演じる「せむし男」が大活躍❤️。

「怪談」とありますが、舞台は山中に怪しげにそびえ立つ洋館の中だけで繰り広げられるので、ゴシック調オカルトホラーとしたほうが良いかんじ。 とにかくエグいはビミョーにエロいわくだらないわで楽しかった。 しかもモノクロなので、これカラーだったらもっとチープに感じただろうな、子供騙しだな、やっぱモノクロって深い、渋い、好きです。

夫が謎の精神異常で死に、その未亡人・楠侑子 (1933-)  と医者である義父・加藤武 (1929-2015)  とその部下、江原真二郎 (1936-) とそのフィアンセが、霧深い山奥にある洋館を訪ねます。夫の死後現れた弁護士により、その洋館は死んだ旦那が浮気することの目的に内緒で購入していたということでした。 洋館、不気味です。ドラキュラとかフランケンシュタインの映画で出てくるみたいなかんじ。 その洋館を古くから管理(召使い)しているというのが、身長160cm台、大きなコブを背負った見るも醜いせむし男・西村晃です。 洋館を訪れた彼らに(もちろん)洋風の食事を提供したりするのですが、不気味すぎてみんなドン引きです。 未亡人・楠侑子は、夫の気が狂った原因はこの場所にあると確信します(まあ最初っからカラスがぎゃあぎゃあ室内に飛び込んで来るわ、誰も居ないのにドアがバンバン音を立てるわ、ホラーなので当然です)。


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西村晃、晩年は水戸黄門を演じて好々爺的存在でしたが、ここでもかなり紹介してきたように、この時代は悪役、ずる賢い役、そしておばけとか、狂人にどハマりしてました。



前半〜中盤にかけてはテンポ良く、また撮影が綺麗で、しかも書いた通り「怪談」ではなく「ゴシックホラー」なので、音(悲鳴や狂人の笑い声)とか影(幻影)で怖がらせるので、まるでショーワのお化け屋敷の中にいるみたいで楽しめました。そう、昨年浅草の花やしき(日本最古の遊園地)で古き良きお化け屋敷を追体験していたのでそんなかんじ。 

で、その通り、死んだ夫はここで気が狂ったということが分かります。でもってせむし男がその秘密を握っております。 でどんどん人が死んでいきます。あとから来た弁護士や、夫の愛人と称する肉感エロス女優・春川ますみ❤️ (1935-)  とかも死んでいきます。 せむし男は実は双子の弟で、兄がここで無残な死を遂げ、その怨念を継承していたということです。曰く、「この洋館に一歩足を踏み入れれば、2度と出られない(出さない)」

みんな脱出を計りますが、都度せむし男に捕らえられ殺されます。そんな危機的状況なのに、義父・加藤武はこの洋館を改装して療養院にしたいという夢と、息子の未亡人を手に入れたくて突然楠侑子に襲いかかりブチューとしますが、侑子さま、とっさに掴んだナイフで刺します。 そう、哀れエロ・加藤武は身内に殺される(アホ)。



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まさにこの写真なんて古のハリウッドホラーてかんじ



そんな最中、謎の(恐山のイタコみたいな)霊媒師・鈴木光枝 (1918-2007)  が現れ、この洋館には魔物がいるとか言って上がり込み、お願いされて死んだ旦那の霊を降ろします。これがめちゃくちゃ恐ろしい、西村晃のキチガイっぷりをはるかに凌駕する迫真の憑依演技で旦那の死の真相が明らかになります。  この鈴木光枝さん、僕多分初めてなんですがものすごい女優さんでした(詳しくは Wiki 参照)。

さあ、残された連中は無事脱出できるのか?せむし男のトラップはいかにエスカレートするのか? 残念ながら多くの表現に差別的なものがあるので永遠にテレビ放送は(地上波では)無いと思いますし、ソフト化も無理でしょう、機会があれば是非〜


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あと音楽・菊池俊輔 (1931-2021)  が素晴らしかった。ホラー映画の定番的なおどろおどろしいスコアは、と調べていたら、ずいぶん前にレビューした怪作 006「吸血鬼ゴケミドロ (1968)」 も彼によるもので、しかも同じ監督・佐藤肇 (1929-1995)   でした。なので系統立てて観るとなるほどなと。「怖がらせる」ということへのこだわり、遊び心と創造性と、洋画ホラーへのオマージュ(この時代時点での)感じました。


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これもすごかったなあ〜






キネマ旬報ベストテン 1965 選外













2021年 5月9日
池袋・新文芸坐「映画デビュー70周年 西村晃のスーパー演技!!」で鑑賞







驚き❤️ソフト化されてました〜



怪談せむし男
桑原幸子





サウンドトラックもあります!!!